(2)相続人について

相続人の中に認知症の者がいますが遺産分割で名義を移すことはできますか
認知症の方は遺産分割協議ができませんので、成年後見制度の利用が必要となります遺産分割協議をして名義変更する場合には、成年後見を申立し、ご本人に成年後見人を就ける必要があります。そして成年後見人がご本人の代わりに遺産分割協議を行います。
注意していただきたいのは、一度成年後見人が選任されたら、遺産分割が終われば任務終了ではありません。ご本人が亡くなるか判断能力が回復するまで続きます。
→成年後見制度詳しくはこちら
これに対し、法定相続分で登記する場合は、成年後見制度は必要ありません。

 相続人の中に音信不通の者(行方不明者)がいます
家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立もしくは失踪宣告の申立が必要となりますここでいう「音信不通」とは、単に連絡しても返事が来ない・無視されているといったケースは含まれません。居場所も連絡先も全く分からず、住民票で住所が判明しても依然行方が分からない、いわゆる「行方不明者」に該当するケースです。
その場合は状況に応じ、家庭裁判所を通した手続きが必要です。
→裁判所の手続業務についてはこちら
なお、法定相続分で登記する場合は、必要ありません。しかし、後々その不動産を売買する際に問題となってきます。

相続人の中に未成年者がいます
場合によっては、家庭裁判所に特別代理人の選任申立が必要となります未成年者とその親権者が同じ相続で相続人同士となるケースは、未成年者の利益保護の観点から未成年者に特別代理人を就ける必要があります。例えば、夫が亡くなり相続人が妻と未成年の子であった場合です。
妻(母親)が“亡くなった方の配偶者としての立場”と“未成年者の母親としての立場”で遺産分割協議を一人で行えば、自己の利益を優先し、未成年者の利益を害する可能性があるからです。
→裁判所の手続業務についてはこちら
なお、法定相続分で登記する場合は、必要ありません。

相続人の中に海外在住の者がいます
印鑑証明書の代わりにサイン証明(署名証明)を使います遺産分割協議書には実印を押印し印鑑証明書を添付します。しかし、日本国籍だが海外在住の方には印鑑証明書が発行されません。なのでその代わりに、現地にある日本領事館でご本人が署名した旨のサイン証明(署名証明)を取得する必要があります。
また、外国籍となっている場合も、現在の国籍のある国の日本大使館等でサイン証明(署名証明)を発行してもらうことができます。
※国によって手続き方法が異なりますので、詳しくはご相談ください。

 仲の悪い相続人がいます
仲が悪いからといって、他の相続人を無視して手続きを進めることはできませんあまり話をしたくない、どう切り出していいか分からない、会ったことのないの共同相続人がいた・・・。こうしたケースは、相続の相談を多数伺っているとしばしば遭遇いたします。ご事情はそれぞれだとは思いますが、冒頭にも書いた通り、無視をして勝手に手続きをするということは制度上できません。まずは電話で話をしてみる、お手紙かメールを送ってみるなどして、調整に向けてアプローチをする必要があります。
司法書士が相続手続き又は相続登記手続きを受任する場合には、当事者間でのお話がある程度整っている(またはその見込みがある)ことが必要であり、相続人の間に入り代理人として交渉することはできません。
どうしても当事者間のやりとりだけでは手続きが進みそうにない場合は、裁判所の調停手続きを利用してみる、弁護士に依頼し間に入ってもらうといった方法になります。

亡くなった方が外国籍です
適用される法律や手続き方法は国によって異なります日本の法律である法の適用に関する通則法第36条は、「相続は、被相続人の本国法による。」と規定しています。亡くなった方の本国の法律で、「相続は、被相続人の住所地に従う」「不動産の所在地の法律に従う」といった条文がある場合、日本の法律によって相続が処理されるケースもあります。
いずれの場合にしても手続き方法や必要書類がやや複雑となりますので、早めにご相談されることをおすすめします。